酒さとは

酒さ(しゅさ)は、顔面を中心に赤みやほてり、毛細血管の拡張、ブツブツ(丘疹)、膿を持ったできもの(膿疱)などが慢性的にみられる皮膚の疾患です。
中高年の女性に多く、特に鼻・頬・あご・額などの中心部に症状が出やすいのが特徴です。
「にきびと似ている」「赤ら顔のようだ」と見られることもありますが、酒さはれっきとした慢性炎症性皮膚疾患であり、にきびとは異なります。
酒さの原因
酒さの原因はまだ完全には解明されていませんが、以下のような複数の要因が関係していると考えられています。
- 主な原因一覧
- 皮膚のバリア機能の低下:紫外線やスキンケアによる刺激で皮膚の防御機能が低下する
- 遺伝的要因:家族歴のある方にやや多く見られます
- 紫外線・寒暖差・アルコール・香辛料などの刺激:顔の血管が反応しやすくなり、赤みやほてりを誘発
- ダニや細菌の関与:皮膚常在菌やニキビダニの異常増殖が悪化要因になることも
- ストレスやホルモンバランスの乱れ:自律神経や血管の反応に影響を与える可能性があります
酒さの症状
酒さは症状の現れ方や進行度により、いくつかのタイプに分類されます。
主な症状は以下の通りです。
- 酒さの主な症状
- 顔の中心部(頬・鼻・額・あご)に赤み(紅斑)
- 毛細血管が浮き出て見える(毛細血管拡張)
- 赤みとともに現れる丘疹や膿疱(にきびに似た症状)
- 皮膚のほてり感、ヒリヒリ・チクチクした刺激
- 重度では鼻が大きくなる鼻瘤(びりゅう)
- 酒さの分類(タイプ別)
- 紅斑性酒さ:赤みやほてり、毛細血管の拡張が中心
- 丘疹膿疱性酒さ:赤み+にきびのようなブツブツが出現
- 鼻瘤性酒さ:鼻が硬く大きくなる、主に中年男性に多い
- 眼型酒さ:目のかゆみ、充血、乾燥などを伴う(眼科受診が必要なことも)
酒さの治療法
酒さは慢性疾患のため、症状のコントロールを目的とした治療が中心になります。
皮膚の状態や症状に合わせて、内服薬・外用薬・スキンケアの見直しなどを行います。
- 主な治療法
- 抗炎症外用薬:メトロニダゾール、アゼライン酸など
- 抗菌薬内服:テトラサイクリン系など。炎症やニキビ様症状に有効
- 血管収縮剤(外用):ブリモニジン(赤みを一時的に抑える)
- レーザー治療:毛細血管拡張や赤みに対して有効なケースあり
- 保湿剤の使用:バリア機能回復のため、低刺激の保湿を徹底
※一人ひとりで症状やタイプが異なるため、医師による診断と治療方針の選択が重要です。
酒さと似た疾患との違い
酒さはにきびや脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などと間違われやすいため、自己判断でのスキンケアや市販薬の使用により悪化することもあります。
- にきび(尋常性ざ瘡):思春期に多く、皮脂詰まりが原因。酒さは中高年に多い
- 脂漏性皮膚炎:赤み+フケのようなかさつき。酒さはブツブツや毛細血管拡張が目立つ
- アトピー性皮膚炎:かゆみが強く、全身に広がる傾向がある
酒さの予防と生活上の注意点
酒さは日常の工夫や刺激の回避によって悪化を防ぐことができます。
- 日常で気をつけたいポイント
- 紫外線対策を徹底(日焼け止め・帽子・日傘)
- アルコール・香辛料・熱い飲み物は控える
- 強い洗顔やスキンケアを避ける(摩擦NG)
- ストレスをためこまない
- 刺激の少ない低刺激の化粧品を選ぶ