尋常性乾癬とは

尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)とは、皮膚が赤く盛り上がり、表面に白いフケのようなかさぶた(鱗屑)を伴う慢性皮膚疾患です。
免疫異常によって皮膚の細胞が過剰に増殖することで、皮膚が厚くなり、かゆみや炎症を引き起こします。
日本では比較的まれな疾患ですが、再発を繰り返す慢性疾患であり、長期的な治療と生活管理が重要になります。
尋常性乾癬の原因
乾癬は自己免疫疾患の一種と考えられており、免疫の働きに異常が生じて皮膚細胞が過剰に作られることで、症状が現れます。
原因は完全には解明されていませんが、以下のような複数の因子が関与しているとされています。
- 主な要因一覧
- 遺伝的要因:家族に乾癬患者がいる場合、発症リスクが高まるとされています
- 免疫異常:自己免疫の反応により、皮膚のターンオーバーが異常に早くなります
- ストレス・過労:精神的・肉体的ストレスが引き金になることがあります
- 感染症:扁桃炎や風邪などの感染がきっかけで悪化することも
- 外的刺激:皮膚への擦れ、傷、日焼けなどが症状を引き起こすことがあります(ケブネル現象)
- 生活習慣:喫煙、飲酒、肥満なども悪化要因とされています
尋常性乾癬の症状
乾癬の症状は人によって異なりますが、代表的な特徴は以下の通りです。
- 赤く盛り上がった発疹(紅斑)
- 銀白色の鱗屑(りんせつ)と呼ばれるフケのような皮膚のめくれ
- かゆみやヒリヒリ感
- 乾燥しやすく、出血を伴うこともある
- 発疹は頭皮、ひじ、ひざ、腰、背中など摩擦が起きやすい場所に多く見られる
- 部位による違い
- 頭皮:フケのようなかさぶたが大量に出て、かゆみが強い
- ひじ・ひざ:乾燥・硬くなった皮膚が繰り返しめくれる
- 背中・腰:広範囲に発疹が見られ、洋服との摩擦で悪化することも
尋常性乾癬の種類
乾癬にはいくつかの種類がありますが、日本人に最も多いのが尋常性乾癬です。
- 尋常性乾癬:最も一般的。赤い発疹と鱗屑が特徴
- 関節症性乾癬:皮膚症状に加えて、関節の痛みや腫れを伴う
- 滴状乾癬:水滴のような小さな発疹が全身に広がる。小児に多い
- 膿疱性乾癬:膿をもった発疹が見られ、全身性の場合は重症
- 乾癬性紅皮症:全身が赤くなり、皮膚が剥がれ落ちる重篤なタイプ
尋常性乾癬の治療法
乾癬は完治が難しい疾患ですが、症状をコントロールすることで、日常生活に支障なく過ごすことが可能です。
- 外用療法(塗り薬):ステロイドやビタミンD3製剤を塗って炎症や皮膚の増殖を抑えます
- 光線療法:紫外線(ナローバンドUVBなど)を照射して症状を改善
- 内服療法:ビタミンA誘導体や免疫調整薬など。副作用の管理が必要
- 生物学的製剤:免疫異常に直接働きかける注射薬。中等症~重症に使用。効果が高いが高額
日常生活での注意点と予防法
乾癬の悪化を防ぐためには、日々の生活習慣の見直しと皮膚のケアが重要です。
- 皮膚を清潔に保つ(刺激の少ない石けんや保湿剤を使用)
- 保湿ケアをしっかり行う
- ストレスをためないように心がける
- 規則正しい生活と睡眠
- 飲酒・喫煙は控える
- 皮膚に傷をつけないよう注意
尋常性乾癬はどの診療科に相談すべき?
乾癬は皮膚に現れる症状ですが、免疫系や全身の健康状態とも関係が深い疾患です。
皮膚科の専門医による診断と治療が望ましく、必要に応じて内科やリウマチ科との連携も行います。