札幌立花病院は札幌市手稲区にある長期療養型施設です。慢性期や高齢、老人の患者さんにも安心して過ごせる最適の環境を提供しています。心療内科・精神科、内科、アレルギー科、リハビリテーション、放射線科など様々な疾患に対応します。

札幌立花病院は札幌市手稲区にある長期療養型施設です。慢性期や高齢、老人の患者さんにも安心して過ごせる最適の環境を提供しています。心療内科・精神科、内科、アレルギー科、リハビリテーション、放射線科など様々な疾患に対応します。採用情報

簡単応募 積極採用中!

札幌立花病院は札幌市手稲区にある長期療養型施設です。慢性期や高齢、老人の患者さんにも安心して過ごせる最適の環境を提供しています。心療内科・精神科、内科、アレルギー科、リハビリテーション、放射線科など様々な疾患に対応します。

筋ジストロフィー

筋ジストロフィーとは

札幌立花病院は札幌市手稲区にある長期療養型施設です。慢性期や高齢、老人の患者さんにも安心して過ごせる最適の環境を提供しています。心療内科・精神科、内科、アレルギー科、リハビリテーション、放射線科など様々な疾患に対応します。

筋ジストロフィーでは、筋肉に必要な遺伝子に変異があるため、筋肉に必要なタンパク質が作られなくなったり、うまく機能しなくなったりして、筋肉が徐々に弱っていきます。そして筋肉が徐々に弱っていくことで、呼吸機能、心機能の低下、嚥下障害など、さまざまな障害が生じる病気です。日常の中で立ったり歩いたり、物を持ち上げたり、運動したり、たくさんの動きをしますが、これらはすべて筋肉が関わっています。もちろん筋肉は日常生活だけでなく、心臓や肺など臓器の動きにも関わっていて、生命活動になくてはならない組織です。筋ジストロフィーではその筋肉が弱ることで、日常生活や生命活動にも危険が及びます。筋肉の主な成分はタンパク質です。健康な人では、筋肉に必要な正常な遺伝子からタンパク質が作られているため、筋肉は丈夫にできています。しかし、筋ジストロフィーでは、その遺伝子の一部に異常(変異)があるため、筋肉似必要なタンパク質が作られなかったり、うまく機能しません。そうすると筋肉が壊れやすく、再生が追いつかなくなります。その結果、筋肉が減って筋力が徐々に低下するため、日常生活にさまざまな影響が出るようになります。このような仕組みを表にすると次のようになります。

筋ジストロフィーの種類・分類

筋ジストロフィーにはたくさんの種類があります。
種類によって、性別、発症年齢、症状など色々です。
具体的にはデュシェンヌ型、ベッカー型、先天性(福山型など)などに分類されます。
また近年では、各筋ジストロフィーの原因遺伝子が同定されてきたことで、原因遺伝子に基づいて分類されるようになってきました。

筋ジストロフィーの主な種類

病気の型 性別 症状が現れる年齢 有病率(人口10万人あたり)
デュシェンヌ型 主に男性 幼児(3~5歳ごろ) 4.8人
ベッカー型 主に男性 小児~成人 1.5人
先天性(福山型など) 男性・女性 新生児~乳児 0.4~0.8人
肢帯(したい)型 男性・女性 小児~成人 1.5~2.0人
顔面肩甲上腕(がんめんけんこうじょうわん)型 男性・女性 小児~成人 2.0人

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、小児期に最も多く発症する筋ジストロフィーで主に男児にみられます。
DMDの原因遺伝子はジストロフィンで、ジストロフィン遺伝子に変異があるため、ジストロフィン(筋肉のタンパク質)がうまく作られず、筋力が徐々に低下していきます。
症状は幼児期(3~5歳ごろ)から出始め、筋力の低下は体の中心に近いところから現れる特徴があります。
ベッカー型の原因遺伝子もジストロフィン遺伝子ですが、デュシェンヌ型と違いジストロフィンは少ないながらも作られています。
その結果、症状の出始めはデュシェンヌ型と比べて遅く、筋力低下の症状もデュシェンヌ型に比べて軽い傾向にあります。
小児期から成人期に現れますが、大きくなるまでベッカー型であることに気づかずに運動などを続けた結果、心臓への負荷が心配されるケースも多くあります。
福山型は小児期の筋ジストロフィーで2番目に多く、原因遺伝子はフクチン遺伝子です。
筋肉の中でフクチン(やはり筋肉に必要なタンパク質)が異常な形で作られるため、うまく機能せず、筋力が徐々に低下します。
その他、顔面・肩甲・上腕筋の筋力低下から発症する 顔面肩甲上腕型などがあります。

筋ジストロフィーはどのような人がなるの?

日本ではおおよそ人口10万人あたり20人程度が発症すると推定されています。
日本筋ジストロフィー協会では25,000人の患者が推計されるとしています。
いろいろな種類の筋ジストロフィーがある中で、10万人当たりの患者数は、だいたい次の程度です。

ジストロフィノパチー 4-5人
肢帯型 1.5-2.0人
先天性 0.4-0.8人
顔面肩甲上腕型 2人
筋強直性 9-10人
エメリー・ドレフュス型 0.1人未満
眼咽頭型 0.1人未満

また一部は人種や国によっても違いがあります。
例えば、日本で一番多い福山型先天性筋ジストロフィーは、日本・韓国・中国以外ではほとんど見られません。
逆に筋強直性ジストロフィー2型は日本ではほとんど見られません。

筋ジストロフィーの原因

筋ジストロフィーの責任遺伝子(原因となっている、異常のある遺伝子)の機能には、細胞膜、細胞の外側に存在する基底膜、筋線維の収縮・弛緩に関与する筋原線維(サルコメア)、タンパク質の糖修飾に関連するもの、核膜に関連するもの、など多様です。
原因遺伝子の異常(変異)が、細胞の機能障害に帰結する過程は色々ですが、いずれにせよ筋肉が変性壊死することは同じです。
一例を上げると次のようなものがあります。

札幌立花病院は札幌市手稲区にある長期療養型施設です。慢性期や高齢、老人の患者さんにも安心して過ごせる最適の環境を提供しています。心療内科・精神科、内科、アレルギー科、リハビリテーション、放射線科など様々な疾患に対応します。
原因となるタンパク質 疾患名
➀ ジストロフィン(dystrophin) ジストロフィノパチー(デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型、女性デュシェンヌ型筋ジストロフィー)
➁ サルコグリカン(sarcoglycan) サルコグリカノパチー(肢帯型筋ジストロフィー)
➂ α-ジストログリカン(α-dystroglycan) α-ジストログリカノパチー(肢帯型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー《ウォーカー・ワールブルグ症候群など》)
➃ メロシン(merosin) メロシノパチー(先天性筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー)
➄ VI型コラーゲン(collagen VI) コラーゲノパチー(肢帯型筋ジストロフィー《ベスレムミオパチーなど》、先天性筋ジストロフィー《ウルリッヒ病など》)
➅ ジスフェルリン(dysferlin) ジスルフェルリン異常症、ジスフェルリノパチー(先天性筋ジストロフィー)
⑦ カベオリンC(caveolin C) カベオリノパチー(リップリングミオパチー、先天性筋ジストロフィー)
⑧ エメリン(emerin) エメリノパチー(エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー)
⑨ ラミンA/C (核)ラミノパチー(エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー)

筋ジストロフィーの症状

骨格筋障害による運動機能障害が主ですが、その他に多様な機能障害・合併症が見られます。
骨格筋の障害には、運動機能障害、呼吸機能低下、咀嚼・嚥下・構音機能の低下、眼瞼下垂・眼球運動の障害や表情の乏しさ等を引き起こします。
また二次的障害として、拘縮(関節が硬くなって動きづらくなる)・変形、骨粗鬆症、歯列不正、呼吸不全、誤嚥・栄養障害等があります。
心筋の障害により心不全や不整脈が起きるほか、平滑筋の障害により胃腸の機能も障害される結果、便秘やイレウスが起こることもあります。
一部の疾患では中枢神経や眼・耳に障害が出るため、知的障害・発達障害・けいれん、白内障や網膜症を合併することもあります。

筋ジストロフィー
障害の部位 機能障害 二次的障害、合併症
骨格筋障害 呼吸機能障害 咳嗽能力低下
呼吸不全
運動機能障害・筋萎縮 骨粗鬆症・骨折
ADL低下
変形・拘縮・歯科学的異常
咀嚼・嚥下障害 栄養障害・代謝異常
誤嚥性肺炎
平滑筋障害 消化管障害 便秘
イレウス・上腸間膜症候群
心筋障害 心機能障害 心不全
腎不全
心伝導障害・洞不全 不整脈
その他 中枢神経障害 痙攣・てんかん
知的障害
発達障害
難聴
眼症状 白内障
網膜疾患
腫瘍

筋ジストロフィーの治療法

近年、日本初の筋ジストロフィー治療薬が発売されました。
これらビルトラルセンやビルテプソという薬は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)のおよそ1割のタイプに効果があります。
これらの治療法はエクソン・スキップと呼ばれ、アンチセンス核酸医薬と言われる薬剤を患者さんの遺伝子(メッセンジャーRNA)に作用させ、遺伝子変異により失われるはずのタンパク質を回復させる画期的な治療法です。
エクソン・スキップ治療は、患者さんの遺伝子変異パターンに応じてアンチセンス核酸医薬の配列をデザインすることで、様々な遺伝子変異パターンを持つ筋ジストロフィーに対しても応用可能であるため、新しい創薬手法として注目されています。
このように他のタイプや病型についても近年の創薬の進歩は著しく、新薬の開発が進められています。
その他にも症状を緩和するため、次のような治療法が行われています。

筋ジストロフィーの運動機能の低下に対する治療

  • ステロイド療法
    ステロイド内服薬によるステロイド療法は、世界中で数多くのデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者さんが受けられている治療法です。
    ステロイド療法の目的は、筋力の低下スピードを遅らせ、歩行が可能な期間を延長することです。
    また、筋肉を動かしづらくなって、関節が硬くなり変形するのを遅らせることも期待できます。
    ただし、ステロイド内服薬にも他のお薬同様に色々な副作用の可能性があるので、専門医とよく相談して適切に使用することが必要です。
    ステロイド療法は、生ワクチンの予防接種を終え、運動機能がきちんと発達した5~6歳頃からの開始を検討します。
    どのタイミングから始めるかは専門の医師と相談して決定します。
  • リハビリテーション
    デュシェンヌ型筋ジストロフィーや他のタイプの筋ジストロフィーでは運動するための筋力が徐々に低下していきます。
    筋肉が動きづらくなると、関節が硬くなり変形が起こるようになります。
    それらを防ぐため、筋力の維持や関節の変形などを防ぐためのトレーニングやストレッチ、マッサージなどを行います。
    これらは症状の程度に応じて行われますが、筋力を強くすることを目的とした筋力トレーニングは、筋肉を痛めるリスクがありますので勧められません。
    しかし新しいデバイスを用いたリハビリテーションとしては、HAL医療用下肢タイプが筋ジストロフィーに保険適用となりました。
    現在は医療施設内での使用に限られておりますが、歩行機能を改善する効果が得られています。

筋ジストロフィーの合併症に対する治療

病気が進行して合併症がみられるようになった場合でも、それぞれの合併症に対する治療を行うことが可能です。

  • 呼吸機能の低下に対する治療
    呼吸が不十分で全身に必要な酸素が行き届かないと、日中にも関わらず眠気が強い、頭が働かない、頭痛などの症状がでる可能性があります。
    これらは呼吸機能の低下が原因の恐れがあり、そのまま放置すると、喀痰や咳嗽がひどくなったり、肺炎や気管支の閉塞による無気肺(肺の一部または全体に空気がなく、肺がつぶれた状態)を引き起すことがあります。
    これら呼吸機能の低下を防ぐために、呼吸法のトレーニングや、痰を除去する排痰法などの呼吸理学療法が行われる場合があります。
    それでも呼吸機能の低下が更に悪化した場合には、マスク型の呼吸器や排痰補助装置などを用いて呼吸を助けます。
    呼吸機能の低下は徐々に進行し気づきにくいため、症状がなくても定期的な検査を行い、早期に異常を発見して、治療することが大切です。
    気になる症状がある場合は早めに専門医に相談して下さい。
  • 心臓機能の低下に対する治療
    心臓機能の低下が進むと、心不全の症状として息切れやむくみの症状があらわれたたりします。
    そのような異常が見つかった場合には、心臓の働きを助ける薬剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬、β遮断薬等)で治療します。
    また不整脈がなどが起こる場合には、循環器の専門医と連携して治療を行いますが、ペースメーカー・除細動器などの埋込式機器や、心臓カテーテルによる焼灼術(アブレーション)が適用になることもあります。
    心臓機能の低下もまた、少しずつ進行するので気がつきにくく、症状が出ていない段階から定期的な検査を受けることが大切となります。
  • 摂食・嚥下機能の低下に対する治療
    食べ物や飲み物を飲み込む力が弱くなると、それらが気管に入ってしまい誤嚥性肺炎を起こすことがあり大変危険です。
    誤嚥性肺炎は口の中の雑菌が、食べ物一緒に肺や気管支に入ってしまうことで起こります。
    したがって口腔内の雑菌が少ないほど起こる確率は低くなるので、日頃から歯磨きを丁寧に行い口の中を清潔に保ちます。
    また、飲み込む力に合わせて、飲み込みやすい食べ物を取るようにすることが大切です。
    症状によっては周囲の人が、食事の際には十分に注意をしてあげて下さい。
    飲み込む力がさらに弱くなった場合には、鼻から管を通して栄養を補給したり、おなかに小さい孔を開けて胃に直接栄養を補給したりする場合もあります。
  • 消化管機能の低下に対する治療
    嚥下機能の低下と同様に、飲み込みやすい食べ物を用意することが大切となります。
    フードプロセッサーなどで細かく刻んだり、一度に食べ過ぎないなどの食べ方の工夫が必要です。
    嘔吐や食欲不振がみられた場合には、消化しやすい食材を選びます。
    便秘の場合には、食物繊維の多い食べ物を選び、場合によっては下剤や浣腸などを使用することもあります。

これら食事での注意をまとめると次のようになります。

  • 食べる姿勢に注意する(座って食べるときには椅子に深く腰掛け、姿勢よく、あごを引き気味にする)
  • 食事の順番に気を配る(食事介助をする際には、お茶や汁物などをはじめに摂ってもらうことで、口腔内や喉が潤い、飲み込みやすくなります)
  • 噛んでしっかり飲み込んでから、次の食事を口の中に入れる。
  • ぱさぱさ、さらさらしている食材はとろみをつける。
  • 飲み込みやすいようミキサーでペースト状にしたり、きざんで細かくする。
Page Top