ケロイドとは

ケロイドとは、けが・手術・にきびなどの皮膚の炎症や傷が治ったあとにできる盛り上がった硬い瘢痕(はんこん)のことです。
通常の傷あととは異なり、赤く硬く盛り上がり、時間が経っても広がり続けるのが特徴です。
多くの場合、胸・肩・上腕・耳たぶ・顎下など、皮膚の張力が強くかかる部位にできやすい傾向があります。
自然に治ることは少なく、痛みやかゆみが続くこともあり、日常生活の妨げになるケースも見られます。
ケロイドの原因
ケロイドは皮膚の異常な治癒反応によって起こると考えられていますが、その原因は完全には解明されていません。
以下のような要因が関与しているとされています。
- 主な要因一覧
- 体質・遺伝的要因:ケロイドができやすい体質の人がいます。特に家族に同様の症状がある場合、注意が必要です
- 外傷・炎症の跡:手術、けが、にきび、虫刺され、ピアスの穴など、皮膚へのダメージが原因になることがあります
- 皮膚の緊張が強い部位:胸や肩など皮膚が引っ張られる場所ではケロイドができやすく、広がりやすいです
- ホルモンや免疫反応:成長期や妊娠中に悪化することもあり、内分泌や免疫の関与も示唆されています
ケロイドの症状
ケロイドの主な症状は、皮膚が赤く硬く盛り上がることです。以下のような特徴があります
- よくある症状
- 赤みを伴う盛り上がり(ふくらみ)
- 時間とともに周囲に広がっていく
- かゆみや痛みを感じることがある
- 場合によっては熱感やチクチクする不快感
- 洋服やアクセサリーが当たると悪化する
- 見た目が気になる(特に顔や耳の周囲など)
通常の傷あと(肥厚性瘢痕)とは異なり、傷を越えて広がっていくのがケロイドの大きな特徴です。
ケロイドの治療法
ケロイドは自然には治らないため、適切な治療が必要です。
治療にはさまざまな方法があり、症状の程度や部位によって組み合わせて行うことが一般的です。
- 主な治療法
- ステロイド外用薬・注射:炎症を抑えて症状を改善します。痛みやかゆみにも効果があります
- シリコンジェルシート:傷口を保湿・圧迫し、盛り上がりを抑える効果があります
- 内服薬(トラニラストなど):ケロイドの進行を抑えることがあります
- 冷凍療法(凍結療法):液体窒素などでケロイド組織を破壊する方法です
- レーザー治療:赤みやかゆみを改善するために使用されることがあります
- 手術(切除):大きくなったケロイドは外科的に除去することがあります。ただし、再発リスクがあるため、術後に放射線やステロイド治療を併用することが一般的です
ケロイドと肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)の違い
ケロイドと似た症状に「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」がありますが、これは元の傷の範囲内で盛り上がる傷あとで、時間の経過とともに自然に改善することもあります。
ケロイドの予防法
ケロイドはできやすい体質の方では予防が難しい場合もありますが、日常生活での工夫や早期ケアによって悪化を防ぐことが可能です。
- にきびや傷は早めに治療・保護する
- ピアスや手術はケロイド体質なら医師と相談の上で行う
- 傷あとができたら、テープやシートで保湿・圧迫
- 日焼けによって赤みが悪化するため、紫外線対策を徹底する