円形脱毛症とは

円形脱毛症(えんけいだつもうしょう)とは、突然、頭髪の一部が丸く脱毛する自己免疫性の皮膚疾患です。
症状は頭部だけでなく、まゆ毛やまつ毛、体毛にも及ぶことがあります。
子どもから大人まで年齢や性別に関係なく発症し、軽度のものは自然に治ることもありますが、広範囲に及ぶケースでは専門的な治療が必要です。
円形脱毛症の原因
円形脱毛症の明確な原因は完全には解明されていませんが、自己免疫反応の関与が有力視されています。
つまり、本来外敵から体を守る免疫機能が誤って自分の毛根を攻撃してしまうことで、髪の毛が抜けてしまうのです。
- 円形脱毛症の主な原因と誘因
- ストレス:精神的・身体的ストレスが発症や悪化の引き金となることがあります
- 遺伝的要素:家族に同じ疾患のある方がいる場合、リスクが高まることがあります
- アトピー素因:アトピー性皮膚炎やアレルギー体質のある人に多い傾向があります
- 感染症や薬剤:まれに風邪やウイルス感染、特定の薬剤が引き金となる場合も
円形脱毛症の症状
円形脱毛症は、突然円形または楕円形の脱毛が起こるのが特徴です。
痛みやかゆみはほとんどなく、気づかないうちに進行することもあります。
- よく見られる症状
- 頭部に500円玉ほどの円形脱毛斑ができる
- 一か所~複数か所にわたって脱毛が進行する
- まゆ毛・まつ毛・ひげ・体毛にも及ぶことがある
- まれに全身の毛が抜け落ちる(汎発性脱毛症)
円形脱毛症の種類
症状の広がりや重症度に応じて、以下のように分類されます。
- 単発型:一か所のみの脱毛。軽症で自然回復することも多い
- 多発型:複数の脱毛斑が生じる。治療が必要なことが多い
- 全頭型:頭髪全体が抜ける。重症型で治療も長期に
- 汎発型:頭髪に加え、眉毛・体毛など全身の毛が抜ける
- 蛇行型:側頭部や後頭部を帯状に脱毛。難治性のこともある
円形脱毛症の治療法
症状の程度や進行度に応じて、外用療法・内服療法・局所注射・光線療法などを組み合わせて行います。
近年では自己免疫に着目した新しい治療法(JAK阻害薬など)も注目されています。
- ステロイド外用薬:炎症を抑え、免疫反応を抑制します
- 局所免疫療法(SADBEなど):わざと軽い炎症を起こして、免疫のバランスを整えます
- 内服薬(抗アレルギー薬、ステロイド):広範囲脱毛に用いることがあります
- ステロイド局所注射:小さな脱毛部分に直接注射して発毛を促します
- 紫外線療法(PUVA、ナローバンドUVB):光を照射して免疫の異常を抑えます
- AK阻害薬(保険適用あり):難治性の重症例に対し、近年使用が広がっています
円形脱毛症の日常生活での注意点
治療と並行して、生活習慣や心身のケアも大切です。
- ストレスをため込まないよう、リラックスできる時間を大切にする
- 栄養バランスの取れた食事(ビタミンB群、鉄、亜鉛など)
- 十分な睡眠と適度な運動
- 自己判断での育毛剤・薬の使用は避ける
- ウィッグや帽子の活用も心の支えになります
円形脱毛症は自然に治るの?
軽度の単発型では、数か月で自然に治るケースもあります。
一方で、多発型や全頭型など重症の場合は、治療に時間がかかることが多く、早期の診断と治療が重要です。